バイアグラの安全性・禁忌|使ってはいけない人・併用禁忌薬

田中 祐介(内科医・産業医)
この記事の監修
田中 祐介(内科医・産業医)
内科(生活習慣病)/日本内科学会 認定内科医

公開日: 最終更新日:

バイアグラ(シルデナフィル)は、禁忌を守って医師の診察のもとで使えば安全性の高い薬ですが、いくつか絶対に守るべきルールがあります。最も重要なのは、狭心症などに使う硝酸薬・sGC刺激薬との併用は禁忌だという点です。併用すると血圧が危険なほど急低下します。重い心臓病・極端な低血圧・重度の肝障害などがある方も服用できない、または慎重な判断が必要です。持病と服用中の薬は必ず医師に伝えてください。

ED治療薬は身近になりましたが、「誰でも自由に飲んでよい薬」ではありません。バイアグラは血管に働きかける薬であるがゆえに、体の状態によっては大きなリスクになり得ます。逆に言えば、守るべきラインさえ守れば、多くの方が安心して使える薬でもあります。このページでは、バイアグラの禁忌・服用できない人・心臓や血圧との関係・「死亡率」の正しい捉え方までを、過度に不安をあおらず、しかし正確にお伝えします。

最重要:硝酸薬・sGC刺激薬との併用は禁忌

ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、亜硝酸アミルなどの硝酸薬、およびリオシグアトなどのsGC刺激薬とバイアグラを併用すると、血圧が危険なほど急激に低下し、失神・ショック・重大な事態を招くおそれがあります。これらを使っている方は絶対に服用しないでください。狭心症の発作止めとして硝酸薬を持っている方も対象です。

バイアグラの安全性の基本

バイアグラは1998年の登場以来、世界中で膨大な使用実績があり、適正に使えば安全性の確立した薬と評価されています。日本でも医療用医薬品として長く処方されてきました。重要なのは「適正に使えば」という前提で、これは具体的には次の3つを意味します。

  • 禁忌の薬(硝酸薬など)と併用しない
  • 服用できない持病がある人は使わない
  • 医師の診察を受けて処方してもらう

この前提が崩れるとリスクが跳ね上がります。特に、診察を受けずに個人輸入で入手して自己判断で飲むケースは、禁忌の見落としと偽造薬の二重のリスクがあり危険です。入手経路のリスクは通販・個人輸入のリスクで解説しています。

併用禁忌(硝酸薬・sGC刺激薬)

「禁忌」とは、その組み合わせで使ってはいけないという最も強い注意です。バイアグラの併用禁忌の中心が、硝酸薬とsGC刺激薬です。

バイアグラは、血管を広げる体内物質(cGMP)が分解されにくくする薬です。一方の硝酸薬やsGC刺激薬も、経路は違えど同じcGMPを増やして血管を広げる働きをします。両者が重なると血管拡張作用が過剰になり、血圧が急激かつ大幅に低下——めまいや失神、さらには生命に関わる事態に至ることがあります。

代表的な併用禁忌の薬(狭心症・心不全・肺高血圧などで使われる)
分類主な薬・成分の例用いられる場面
硝酸薬(内服・貼付・スプレー)ニトログリセリン、硝酸イソソルビド など狭心症・心不全
亜硝酸薬亜硝酸アミル(いわゆる「ラッシュ」等の乱用にも注意)
sGC刺激薬リオシグアト肺高血圧症など

硝酸薬は「舌下錠」「スプレー」「貼り薬(テープ)」など飲み薬以外の形もあります。発作時だけ使う人も対象です。「たまにしか使わないから」と自己判断せず、使っている・処方されているなら必ず医師に申告してください。

服用できない人・慎重に使う人

硝酸薬の併用以外にも、体の状態によってバイアグラを服用できない(禁忌)、あるいは慎重に判断すべき(慎重投与)ケースがあります。

服用の可否の目安(最終判断は医師が行います)
状態・条件扱い理由・補足
硝酸薬・sGC刺激薬を使用中 × 禁忌血圧の危険な急低下
重い心臓病・不安定な狭心症 × 服用不可のことが多い性行為・血管拡張の負荷に耐えられない可能性
最近の心筋梗塞・脳卒中(半年以内目安) × 服用不可のことが多い循環器が不安定な時期
極端な低血圧 × 服用不可のことが多いさらなる血圧低下の危険
コントロール不良の高血圧 △ 慎重まず血圧の管理を優先
重度の肝機能障害 × 服用不可のことが多い成分の代謝・排泄に問題
網膜色素変性症など一部の目の病気 △ 慎重関連酵素への影響を考慮
シルデナフィルに過敏症の既往 × 禁忌アレルギー反応の危険

上の表はあくまで一般的な目安です。実際に飲めるかどうかは、持病の程度や他の薬との兼ね合いを含め、医師が総合的に判断します。だからこそ自己判断ではなく診察が欠かせません。副作用の詳細は副作用ページもあわせてご覧ください。

高血圧・血圧が気になる人は?

「高血圧だからバイアグラは無理」と思い込む方がいますが、必ずしもそうではありません。血圧が薬で安定してコントロールされていれば、服用できる場合が多いのが実際です。ポイントは血圧の数値そのものよりも、使っている降圧薬の種類にあります。

  • 硝酸薬を使っている → 併用禁忌。服用できません
  • α遮断薬を使っている → 血圧が下がりすぎることがあり、時間をずらすなどの配慮が必要(慎重投与)
  • 一般的な降圧薬(ARB・ACE阻害薬・カルシウム拮抗薬・利尿薬など) → 多くは併用可能だが、医師の確認が必要

いずれにせよ、高血圧のある方は血圧の管理状況と服用中の薬を医師に伝えたうえで判断してもらうことが大切です。自己判断で飲み始めるのは避けてください。

心臓への影響をどう考えるか

バイアグラと心臓の関係は、2つの側面から考える必要があります。

ひとつは薬そのものの血管拡張作用。もうひとつは、性行為という運動負荷です。ED治療薬を使う場面では性行為が伴うため、「性行為に耐えられるだけの心機能があるか」が安全性の重要なポイントになります。階段を数階分上っても大きな症状が出ない程度の運動耐容能が、ひとつの目安とされます。

重い心臓病や不安定な狭心症、コントロールされていない不整脈などがある方は、性行為自体が心臓に負担となり得るため、バイアグラの服用が難しいことがあります。心疾患のある方は、ED治療の前に循環器の主治医に相談し、心機能を評価してもらってから判断するのが安全です。

EDは心血管の「サイン」のことも

EDは、動脈硬化など血管の問題が背景にあることがあり、心筋梗塞などの前触れとして現れる場合もあると指摘されています。ED治療薬を使う・使わないにかかわらず、EDをきっかけに全身の健康状態を見直すことには意味があります。気になる方は医師に相談してみてください。

「死亡率」の正しい理解

「バイアグラで死亡した」という話を目にして不安になる方は少なくありません。ここは冷静に、正確に理解しておきたいところです。

過去に報告されてきた重大な事例を検証すると、その多くは禁忌を守らなかったケース——とりわけ硝酸薬との併用や、性行為に耐えられないほど心機能が低下した状態での使用が関係していました。つまり、薬を正しく使わなかったことが背景にあった例が目立ちます。

適正に——禁忌を守り、医師の診察を受け、指示された用量で——使う限り、バイアグラで重篤な事態が起こる頻度はごくまれです。したがって、恐れるべきは「バイアグラそのもの」ではなく、「禁忌を無視した使い方」「診察を受けない自己判断」「偽造薬」だと言えます。過度に怖がる必要はありませんが、ルールを軽く見てもいけない——これが正しい理解です。

併用に注意が必要な薬

禁忌ではないものの、一緒に使うと作用が強まったり弱まったりして慎重な扱いが必要な薬があります。代表的なものを挙げます。

併用に注意が必要な主な薬(禁忌ではないが要相談)
分類主な例注意点
α遮断薬(降圧・前立腺肥大) ドキサゾシン、タムスロシン など血圧が下がりすぎることがある。時間をずらすなど配慮
CYP3A4を強く阻害する薬 一部の抗真菌薬、一部の抗HIV薬、一部のマクロライド系抗菌薬シルデナフィルの血中濃度が上昇。減量を検討
他のPDE5阻害薬 シアリス、レビトラ など同種の薬の重複。併用しない
一部の降圧薬全般 複数の降圧薬を併用中など血圧への影響を医師が評価

また、グレープフルーツ(ジュース)もシルデナフィルの血中濃度を上げるため避けるべきです。食べ物・飲み物との相互作用は食事・アルコールの影響で詳しく解説しています。他のED治療薬との違いは3剤比較も参考にしてください。

安全に服用するために

バイアグラを安全に使うために、最も確実な方法は医師の診察を受けることです。診察では、次のような確認が行われます。

  1. 持病の確認:心臓・血圧・肝臓・目の病気などがないか
  2. 服用中の薬の確認:硝酸薬などの禁忌薬・注意薬がないか
  3. 用量の決定:体調や年齢に合わせて適切な量を選ぶ
  4. 使い方の説明:飲むタイミングや注意点の共有

これらは、成分の不確かな個人輸入品を自己判断で飲むのでは決して得られない安全のためのプロセスです。通院が難しい方は、オンライン診療という選択肢もあります。自宅にいながら医師に相談でき、禁忌や飲み合わせの確認を受けられます。処方の流れは処方・オンライン診療をご覧ください。バイアグラの全体像はバイアグラとはで確認できます。

持病や飲み合わせが心配な方こそ、医師に相談を

安全に使えるかどうかは、一人ひとりの体調と服用薬で変わります。オンライン診療なら、自宅から医師に禁忌や飲み合わせを確認してもらえます。

オンライン診療で相談する

よくある質問(FAQ)

バイアグラを飲んではいけない人はどんな人ですか?

硝酸薬やsGC刺激薬を使っている方は併用禁忌で服用できません。加えて、重い心臓病・不安定な狭心症・最近(半年以内目安)に心筋梗塞や脳卒中を起こした方、極端な低血圧やコントロール不良の高血圧、重度の肝機能障害がある方なども服用できない、または慎重な判断が必要です。詳しくは服用できない人をご覧ください。

なぜ硝酸薬とバイアグラを一緒に飲んではいけないのですか?

硝酸薬もバイアグラも血管を広げて血圧を下げる方向に働きます。両方が重なると血圧が危険なほど急激に下がり、失神やショックなど重大な事態につながるおそれがあります。このため両者の併用は「禁忌」とされています。詳細は併用禁忌で解説しています。

高血圧ですがバイアグラは飲めますか?

高血圧というだけで一律に禁止されるわけではありません。血圧が安定していれば服用できることも多いですが、使っている降圧薬の種類(特に硝酸薬でないか)や血圧の状態によります。必ず医師の診察を受け、服用中の薬をすべて伝えてください。

バイアグラで死亡することはありますか?

適正に使用すれば重篤な事態はごくまれです。過去に報告された重大事例の多くは、硝酸薬との併用や、心臓に大きな負担のかかる状態での使用など、禁忌を守らなかったケースが関係しています。裏を返せば、禁忌を守り医師の診察のもとで使うことが安全性の鍵です。死亡率の正しい理解で詳しく解説します。

心臓が悪いのですが、バイアグラは心臓に負担をかけますか?

バイアグラ自体は血管を広げる薬で、性行為に伴う運動負荷とあわせて心臓に影響することがあります。重い心臓病や不安定な狭心症がある方は服用できないことがあり、性行為に耐えられる心機能かどうかの評価が重要です。循環器の主治医と相談してください。

飲み合わせに注意が必要な薬はありますか?

硝酸薬・sGC刺激薬は併用禁忌です。そのほか、一部の降圧薬(α遮断薬)、抗真菌薬や一部の抗HIV薬などCYP3A4で代謝を妨げる薬は血中濃度を上げるため慎重投与となります。併用注意薬を参照し、必ず服用薬を医師に申告してください。

市販薬やサプリと一緒に飲んでも大丈夫ですか?

一部の市販薬やサプリにも血圧や代謝に影響するものがあります。特に硝酸薬成分を含むものや、いわゆる精力サプリで成分表示が不明確なものは注意が必要です。個人輸入のバイアグラ(ばいあぐら)類似品も含め、成分が不確かなものは避け、医師・薬剤師に確認してください。

参考文献

  1. PMDA(医薬品医療機器総合機構)医療用医薬品 添付文書情報
  2. 厚生労働省 医薬・生活衛生局(医薬品の適正使用・個人輸入に関する注意喚起)
  3. 日本性機能学会・日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン」
  4. ファイザー株式会社 バイアグラ錠 添付文書・患者向医薬品ガイド

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